スクレーパ式のベルトクリーナに必要な要件は、(1)掻き取りチップがベルトに正確に当接することによりベルト付着物のすり抜けがないこと。(2)掻き取りチップの寿命が長く長時間にわたり付着物を掻き取ること。(2)金属などの突き刺さりやベルト繋ぎ目(エンドレス)の剥離などの突起物によりベルトクリーナやベルトが損傷しないように衝撃荷重を瞬時に回避できること。(3)ベルトクリーナ本体への付着物の付着がないかもしくは付着物の量が極めて少ないこと。(4)ベルトクリーナの構造がシンプルでコンパクトでありヘッドプーリの下部にも取り付け可能であること。(5)チップの調整が容易であること。(6)取り付け取り外しが容易であること。優れたベルトクリーナの機能として以上の6つの機能を満たすことが要求されている。
ベルトクリーナーの現状
ベルトコンベアは大量の原料を搬送できる設備ですが、戻りベルトの下にはベルトに付着した搬送材料が大量に落下して落下物となり堆積していきます。落下物はリターンローラの下に選択的に落下・堆積しやすく、落下物を放置するとリターンローラやベルトの位置まで成長しこれらを摩耗させます。落下物の放置は作業環境の悪化や資源の損失となるため、定期的に落下物の回収作業を実施しますが自動化も難しく多大の労力と費用がかかっているのが現状です。一旦落下した落下物は回収して再利用する場合もありますが、コンベアの全機長に渡って広範囲に落下するので多くの労力とコストを要しています。このため、出来るだけベルトクリーナを用いて一定の場所で付着物を掻き落として効率的に回収する方法が採用されていますが煩雑な調整や取り換えに手間がかかるために放置されているケースも多く見受けられます。一般的には構造が簡単で整備性の優れたスクレーパ方式が多用されております。しかしながら現状のスクレーパ式クリーナーには色々な弱点があります。①掻き取り刃がベルトの幅方向に広いためベルトと掻き取り刃が均一に当りにくく付着物が搔き取り刃をすり抜けてしまうので十分な掻き取りができません。②スクレーパ式クリーナーは剛性が高いためベルト剥離や強固な付着物などの突起物に撓めないのでベルトやクリーナーを損傷するなどの問題があります。
ベルトクリーナの改善ポイント
スクレーパ式ベルトクリーナーが掻き取り性能、安全性能、メンテナンス性能面で十分に機能しないためコンベアラインには色々な問題が残されたままになっています。1)従来のベルトクリーナは掻き取り刃を精密にベルトに当接させることができず完全な掻き取りは不可能であった。2)ベルトクリーナは多種製造販売されているが、調整や手入れをこまめにやる必要があり手間がかかっている。このため、ベルトクリーナを設置しても放置されているケースが多く落下物が堆積していた。3)コンベア下に堆積した落下物は環境悪化や資源の無駄になるので回収して再利用するが、石炭、鉄鉱石、石灰などの搬送物が混在する場合は選別が不可能であり再利用できず無駄に廃棄されていた。4)落下物は放置すると徐々に堆積してリターンローラに到達しリターンローラを摩耗させる。又、ベルトにこびりついたダストはリターンローラを摩耗させる要因である。5)シールプレートが当る部分は選択的に摩耗し凹むので付着物が溜まりやすい。6)落下物は通常微粉であり、風で舞い上がりやすく飛散して周辺環境を汚染したり、雨水とともに海や河川に流れ込み海洋汚染の原因となる。5)落下物はベルトコンベア直下に堆積するので機械の導入が困難で人力によるスコップ作業が主で有り近年清掃作業者の確保が難しい状況である。
付着物が落下して堆積するイメージ図
マフレンベルトクリーナーの外形
(1)掻き取り部のチップの寿命が長く長時間にわたり付着物を掻き取ること。
マフレンのベルトクリーナはウレタンバーの先端に耐摩耗性に優れたタングステンカーバイトの超硬チップを取付けておりますので長寿命です。超硬チップはベルトに適正な押付け力で押圧力されていますので過剰な負荷がかかることはありません。超硬チップはベルトに確実に当接していることが大事であり過度に押付けて無理矢理掻き取る必要はありません。一般的なベルトクリーナの場合は掻き取り刃をベルトに過大に押付ける方式ですのでベルトの摩耗を早めクリーナーの弾性力を低下させます。
掻き取り刃(超硬チップ)拡大図
(2)付着物がベルトに強固に付着している場合やエンドレスの剥離などの突起物による衝撃荷重を瞬時に回避し、ベルトクリーナやベルトを損傷しないこと。
1.マフレンクリーナーは可撓性のあるウレタンバーの先端に耐摩耗性の超硬チップを強固に取付けております。通常はウレタンバーの反発力で付着物を強固に掻き取りますが、超硬チップにエンドレスの捲れ部や金属などの突起物が衝突するとウレタンバーが瞬時に撓んで衝突力を回避しますのでベルトやクリーナーを損傷することがありません。超硬チップは突起物が通過したあと瞬時に通常の掻き取り位置に復帰します。
2.ベルトの突起物はエンドレスの捲れ、金属片の突き刺さり、接続用フレキシコなどがあります。高速で衝突する突起物をクリーナーが撓んで回避するのでベルトの縦裂きやクリーナーの変形及び損傷を防止できます。
(3)調整周期や取り換え周期が長いこと。
マフレンのクリーナーはスパナだけで交換や調整が可能です。ベルトの摩耗に合わせて掻き取りチップを0.5mm程度押上げるだけでベルトと掻き取りチップの押圧力を改善できます。
(4)ベルトクリーナ本体への付着物の付着がないかもしくは付着物の量が極めて少ないこと。
ベルトクリーナの前面と後面に防塵シートを取付けております。掻き取った付着物はスムースにホッパー内に滑り落ちます。ベルト下の付着物をスコップで回収したりクリーナーにこびりついた付着物を除去する手間が大幅に改善されます。
(5)ベルトクリーナの構造がシンプルでコンパクトでありヘッドプーリの下部にも取り付け可能であること。
/ベルトクリーナーをヘッドプーリの下に取付けられるので落鉱清掃を軽減できます。/
ベルトクリーナーをヘッドプーリの下に取付けられるので落鉱清掃を軽減できます。/
(6)チップの調整が容易であること。
1.ベルトクリーナーの掻き取り刃の高さを調整してベルトの局部摩耗や変形に追随できます。
2.高さ調整が精密にできるので無理矢理掻き取り刃でベルトを強く押付ける必要はありません。
3.掻き取り刃とベルトはソフトに接触するので掻き取り刃の寿命を長く保持できます。
クリーナーの構造比較図
ベルトクリーナ提携先
株式会社マツシマメジャテック
株式会社アステック入江