異常検知の必要性
ベルトコンベアの故障の予兆を大事故になる前に知ることができたら広大なコンベアヤードの管理はどれほど楽になることでしょう。この課題は長い間生産現場の切実な思いであります。なにしろベルトコンベアは機長が長かったり、高所やトンネルに設置してあったりしてアクセスするだけでも苦労する設備です。さらに鉄鉱石や石灰岩、石炭などの鉱山や鉄鋼やセメントなどの生産現場には多数のコンベアが広いヤードに分散配置されております。このためひとたび事故が発生すると、故障復旧やコンベア周辺の落鉱清掃のために夜間を問わず要員をかき集めて緊急に対応する必要があります。従ってコンベアの故障予知を効率よく正確に把握することは製造現場の切なる願いであり絶対に実現しなければならない課題であります。
ベルトコンベア監視装置の現状
ベルトコンベア故障の原因は、1)ベルト切断、2)ベルト穴あき、3)ベルトのエンドレス部捲れ(部分剥離)4)鉄板などの突き刺さり、5)縦裂き、6)蛇行、7)スリップ、8)シュート詰り、9)ベルト摩耗などがあります。これらの故障はそれぞれに独自の監視装置が必要です。ベルト切断、スリップ、シュート詰りどはモーターの電流に大きな変動が生じますので運転室の電流計やアラームなどで検知可能です。シュート詰り、蛇行どは監視カメラで検知可能です。また、蛇行はコンベアの機側に複数のリミットスイッチを設けて監視することで検知可能です。エンドレス部の捲れや穴あき、鉄板などの突き刺さり、摩耗などは搬送材料で隠れるために監視カメラによる目視が不可能です。ベルトの戻り側でカメラや目視で検知する必要があります。あるいはコンベア休止中に目視観察で対応可能です。ベルトコンベアは高効率の大量輸送設備でありコンベア故障によるライン休止は重大な生産機会の損失です。故障を未然に防ぐためには頻繁にコンベアラインを休止して人海戦術で点検を徹底するしか方法がありません。
マフレンのベルトコンベア監視装置紹介
弾性体の先端に耐摩耗チップと加速度計が取付けられた検知棒がベルトコンベアのベルト下部の架台に配設されております。耐摩耗チップがベルトの表面に押圧力を付加されて揺動自在に当接され、弾性体を通じて加速度計が振動を検知します。ベルトの走行状態や表面状態や外部からの変化に対応して生じる振動波形が検知棒で検出され、検知された振動信号は制御部に送られベルトの稼働状態を監視することができます。ベルト走行中はベルト進行方向の推進力だけでなくベルトが蛇行することによるスラスト力も付加されるので両者のベクトルを制御部で演算してベルトの蛇行レベルを把握できます。振動検知器と制御部はコネクタで接続され検知棒をメンテナンスする際などは簡単に分離できます。制御部は、入力部、記憶部、演算部、出力部などにから構成されており、振動検知器の検出情報の記録、演算、表示、通信が可能です。又検出信号に基づいて入力部から荷重の閾値の設定が可能であり。ベルトが正常に安定して稼働している際の検知棒の振動値を基準とし、この基準値よりある値以上になったら警報ランプや警報ブザーを鳴らすなどの操業対応が可能です。出力部はディスプレイやプリンターや通信部などを備えており、外部との通信が可能な機能を備えており、離れた場所での監視、管理が可能です。振動検知器には、接触型と非接触型があります。接触型には加速度検出型と速度検出型があります。加速度検出型には圧電型や動電型やストレインゲージ型があります。非接触型には変位検出型があり、過電流型、耐電容量型、光学型があります。それぞれの特性を生かしながら検知棒の大きさや取付け環境に応じて多くの選択肢があります。加速度センサは加速度の測定ができる慣性センサで、3次元の慣性運動を検出し振動、衝撃、動きを測定でき小型タイプも製品化されているので検知棒の振動検知器として自在に組み合わせて構成できます。
ベルトコンベア監視機器の構成
監視装置は加速時計を組み込んだ検知棒と検知棒からの加速度信号を受けて解析・出力する制御機器から構成されております。
振動検知器による振動測定はレコード針の原理と同じで、レコード針がレコード表面の溝の変化を検知して音を出すように、振動検知器はベルト表面の凹凸や蛇行などの横ずれの動きやモータの負荷変動などの外力から受ける振動の変化を精密にピックアップし振動波形を制御部に入力しベルトの異常を検知し出力部から出力することができます。検知棒はヘッドプーリやテールプーリやドライブプーリやテンションプーリのようにベルトにテンションのかかるプーリの下部に取付けるのが理想的ですがアクセスが悪い場合はリターンローラの近辺でも可能です。。ヘッドプーリの下部ではベルトにテンションが付加されておりベルトは略完全にヘッドプーリの形状に沿って平らに押し付けられ延ばされているのでベルトの摩耗や蛇行や破孔や付着物・捲れなどの異常を正確に検知可能です。ベルトは走行方向と同時に幅方向にも小刻みに動いているので耐摩耗チップを取付けた検知棒の先端はベルトの複雑な動きに合わせて自在に揺動運動することが必要です。この柔軟な揺動運動がなければ検知棒は疲労破壊したりベルトを傷めたりする恐れがあります。検知棒を弾性体で形成しているので検知棒の動きは極めて滑らかであり突起物に対しても柔軟に撓んで折損などのトラブルを回避して安定して稼働できます。
簡単な全体構成模式図
検知棒を現場に取付けた場合の模式図
従来の監視設備とマフレン監視装置の比較
従来のベルトコンベアの監視装置は監視カメラやリミットスイッチや電流計などが主流でした。監視カメラはシュート詰り、蛇行、縦裂き、金属突き刺さりなどを検知するため複数設置しております。監視カメラは警報は出せませんので人間が絶えずモニターを見て異常がいないことをチェックする必要があります。蛇行検知ではリミットスイッチが使われていますが蛇行が大きくならないと検知できないケースがあります。しかもコンベアラインの複数の場所に必要です。このように従来の監視装置は複数の装置をコンベアライン全体に分散設置して管理しております。マフレン監視装置は例えばベルトのヘッドプーリの下に1箇所設置すれば十分であり、加速度計の閾値により警報をだすことも容易であり状況に応じて緊急停止をすることも可能です。
マフレンベルトクリーナーに装着した場合のイメージ図
次図はマフレンベルトクリーナに検知棒を設置して故障検知する場合の模式図です。
ベルトコンベア振動波形のモデル図
次図は加速度計で振動を検知して波形を解析した場合のモデル図です。