正転(通常運行)と逆転(逆方向運行)の両方を行うベルトコンベア(リバーシブルコンベア)にベルトクリーナーを設置する場合、一般的な一方向のみのコンベアとは異なる特有の技術的課題や破損リスクが存在します。
正逆運転可能なベルトクリーナーの構造
マフレンクリーナーを正逆運転ベルトに採用するばあいのポイントを解説いたします。
設置場所の吟味(リターン側への設置)
ヘッドプーリ(駆動プーリ)部に設置する「プライマリークリーナー(頭部クリーナー)」は、リバーシブルコンベアでは構造上、非常に難しくなります(正転時はヘッドプーリでも、逆転時はテールプーリになるため)。 テールプーリ側は起動時にベルトのダンシングが発生しますのでスナッププーリを取り付けるのがよいでしょう。

1. 主な問題点(リスクと課題)
① 刃先(チップ)の突っ込み現象・破損リスク
一方向用のクリーナー(特に前傾角を持つもの)をそのまま使うと、ベルトが逆転した際にクリーナーの刃先がベルトの進行方向と対向する形になりベルトに異常な反力が作用してしまいます。そのためベルトの突起物(エンドレス部の突起、異常な付着物)を回避できなくなり、クリーナーやベルトの破損に繋がる危険性があります。
マフレンクリーナーはウレタンバーの先端に超硬チップを取り付けていますので、ウレタンが逆方向に曲がることによりベルトの反力を回避できます。
② 掻き取り効率の低下
正転・逆転の両方に対応するためには、刃先の角度をベルトに対して垂直(直角)に近く設定せざるを得ないケースが多くなります。しかし、かき落とし効率(クリーニング性能)は一般的に進行方向に対して最適な傾斜角(正角など)を持たせた方が高くなるため、両方向対応型は一方向専用型に比べて泥や付着物の除去性能が落ちる傾向があります。マフレンクリーナーをヘッドプーリとテールプーリにそれぞれ設けることで掻き取り効率の低下を防げます。
③ 反転時の衝撃と挙動の不安定さ
コンベアの運行方向が切り替わる瞬間、ベルトの張力バランスが変化し、ベルトが上下にバタつく(蛇行やボトミング)が発生しやすくなります。この挙動変化によりクリーナーに過度な衝撃が加わり、追従性が悪くなったり、ブレードが振動(チャタリング)を起こしてベルトを傷つけたりすることがあります。
2. 設置・選定における注意点(対策)
リバーシブルコンベアにクリーナーを導入する際は、以下のポイントを確実にクリアする必要があります。
角度設定は「垂直(ゼロアタック角)」が基本
正転・逆転のどちらに動いても同じ条件でベルトに接触するよう、ブレードの当たり角度はベルト面に対して垂直(90°)に設計されたものを選定するのが基本です。
- 注意: わずかでもどちらかに傾いていると、逆転時に強い摩擦抵抗(くさび効果)が生まれ、大事故につながります。
追従性と安全性を高める構造の選定
ベルトのバタつきや逆転時の負荷をいなすために、以下の構造を持つクリーナーが推奨されます。
- 弾性体(スプリングやゴム)によるテンション機構: 逆転時の異常な負荷を逃がせるよう、柔軟に可動するテンション構造が必要です。
- 両方向用の特殊チップ形状: 先端がR形状(丸み)を帯びているものや、どちらの方向からベルトが来ても受け流せる対称形状のチップを選定します。
メンテナンス頻度の向上
垂直に刃先を当てる構造上、刃先の摩耗スピードが早くなったり、偏摩耗(不均一な減り方)を起こしやすくなります。定期的な刃先チェックと、テンション(押し付け力)の再調整を通常よりも高頻度で行う運用計画を立ててください。
まとめ
正逆転コンベアへのベルトクリーナー設置は、従来のクリーナーであれば「いかに逆転時の巻き込みを防ぐか(安全性)」と「両方向での最低限のクリーニング性能の維持(効率)」のトレードオフになります。マフレンベルトクリーナーは正逆運転可能です。
現在、具体的なコンベアの仕様(ベルト幅、速度、運搬物など)や、現在発生しているトラブルなどはありますか?状況に合わせてさらに詳細なアドバイスをすることも可能です。

コメント