搬送材料とベルト付着物の関係
ベルトに付着する付着物は搬送物の種類に関係なく全て粒状、砂状、泥状、粉状、ペースト状のいずれかです。
従ってベルト表面にこびり付いた付着物は超硬チップとウレタンバー(支持棒)の組合わせで掻き取り可能です。
ベルトコンベアで搬送材料がベルトに付着する理由は、主に次のようなものです。
搬送材料の付着理由
1. 材料自身の粘着性
湿った搬送材(石灰、塩、石炭、鉄鋼石)
- 汚泥
- 鉱石や石灰などの微粉
- 食品原料
などは、材料そのものに粘着力があり、ベルト表面に付着しやすくなります。
2. 水分の影響
材料中の水分が増えると、材料とベルトの間に「水の膜」ができ、吸着力が発生します。
特に含水率が高い場合は、
- ベルトへの付着
- プーリへの巻き付き
- シュート閉塞
が起こりやすくなります。
3. 微粉の存在
細かい粉が多いほど付着しやすくなります。
粗い塊だけなら落下しやすいですが、
- 石灰石粉
- セメント
- フライアッシュ
- 鉱石微粉
などはベルト表面の微細な凹凸に入り込み、残留します。
4. ベルト表面の劣化
ベルト表面が
- 摩耗
- ひび割れ
- 傷
によって荒れてくると、付着物が引っ掛かりやすくなります。
新品ベルトよりも、古いベルトの方が付着量が増える傾向があります。
5. 静電気
乾燥した環境では静電気により軽い粉体が吸着されることがあります。
特に
- 樹脂粉
- 木粉
- 化学粉体
で見られます。
6. 排出条件の影響
ヘッドプーリで材料が十分に分離しない場合、
- ベルト速度が低い
- 搬送物が湿潤
- プーリ径が小さい
などの理由で、一部の材料がベルト側に残ります。
原理的に見ると
搬送物がベルトに付着するのは、
「材料がベルトから離れようとする力」よりも「材料がベルトにくっつこうとする力」が大きいから
です。
付着力には、
- 粘着力
- 凝集力
- 毛管力(水分)
- 静電気力
- 機械的な引っ掛かり
が関係しています。
付着対策
- 適切なベルトクリーナーの設置
- ベルト表面を傷付けないクリーナー材質の採用
- プーリ径やベルト速度の適正化
- 搬送物の含水率管理
- シュート構造の改善
- ベルト表面の定期点検・更新
ベルトクリーナーを設計する立場で考えると、付着物を完全に除去するには、付着力より大きな掻き取り力を与えながらも、ベルトを傷付けないことが最も重要なポイントになります。

掻き取りチップは、超硬、セラミックス、 炭素工具鋼(SK材)合金工具鋼(SKS・SKD・SKTなど)、高速度工具鋼(SKH材 / ハイス・ハイスピードスチール)を使用できます。付着物が柔らかい場合はウレタンなどの樹脂も使用できます。
材料付着の化学的・物理的な原理
ベルトコンベアのベルトに搬送材が付着する現象は、単なる「汚れ」ではなく、化学的・物理的な作用が複合して起こります。
1. 分子間力(ファンデルワールス力)
最も基本的な付着原因です。
ベルト表面と搬送材表面が接触すると、分子同士が引き合う力(ファンデルワールス力)が働きます。
- 粒子が細かいほど接触面積が増える
- ベルト表面が平滑なほど密着しやすい
- 粉体ほど影響を受けやすい
例:
- 石炭微粉
- セメント
- フライアッシュ
2. 水分による毛管力(キャピラリー力)
湿った搬送物では最も大きな付着要因です。
搬送物とベルトの間に薄い水膜が形成されると、水の表面張力によって両者が引き寄せられます。
イメージとしては、
- ガラス板を濡らして重ねると剥がれにくい
- 湿った砂が固まる
のと同じ原理です。
特に、
- 粘土
- 湿炭
- 鉄鉱石
- 脱水ケーキ
などで発生します。
3. 粘着力(タック性)
搬送物自体が粘着性を持つ場合です。
搬送材中の
- 樹脂分
- タール分
- 油分
- 糖分
がベルト表面に付着します。
例
- アスファルト
- コークス炉副産物
- 木材チップ樹脂
- 食品原料
4. 静電気による吸着
乾燥した粉体では静電気の影響があります。
ベルトと搬送物の摩擦により帯電し、
- ベルトがプラス
- 粉体がマイナス
などになると静電気力で吸着します。
例
- プラスチック粉
- 樹脂ペレット
- 微粉炭
5. 化学結合・化学反応
特殊な場合ですが、搬送物とベルト表面が化学的に反応することがあります。
例
- 石灰(CaO)
- セメント
- 薬品スラリー
など。
水分と反応して固化し、ベルト表面に強固に固着します。
6. 表面エネルギーの影響
化学的には「濡れ性」が重要です。
ベルト表面エネルギーが高いほど付着しやすくなります。
| ベルト材質 | 付着性 |
|---|---|
| 天然ゴム | 高い |
| SBR | やや高い |
| ウレタン | 中程度 |
| シリコーン | 低い |
| フッ素樹脂(PTFE) | 非常に低い |
フライパンのテフロン加工が焦げ付きにくいのと同じ原理です。
ベルトコンベアで最も多い付着原因
現場経験上、付着の発生割合は概ね
- 水分による毛管力(約50%)
- 粘着成分による付着(約30%)
- 分子間力(約15%)
- 静電気・化学反応(約5%)
と考えられます。
したがって、ベルトへの付着対策としては、
- 搬送物の含水率管理
- ベルトクリーナーの最適化
- 低表面エネルギー材の採用
- ベルト表面の平滑維持
が特に重要になります。
ベルトクリーナーメーカーの視点で言えば、「付着は掻き取る前に発生させない」ことが理想であり、そのためには搬送材の水分と粘着性の管理が最も効果的です。


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