コンベアベルトクリーナーの掻き取りチップに超硬(タングステンカーバイド)を適用する場合、単純に「超硬だから耐摩耗性が高い」と考えると、ベルト損傷やチップ欠損などの問題が出やすくなります。
特に重要なのは、①超硬材質、②チップ形状、③ベルトへの接触条件、④固定方法、⑤異物への対応です。
1. 超硬の「硬さ」だけで選ばない
超硬は一般的なウレタンやゴム系チップより耐摩耗性を大幅に高められますが、硬くなるほど靭性(欠けにくさ)とのバランスが重要になります。
例えば、
- 鉄鉱石・焼結鉱など → 高い耐摩耗性が必要
- 石炭・石灰石など → 摩耗と靭性のバランスが重要
- 金属片などの異物が混入 → 欠け・破損対策が重要
というように、搬送物によって超硬グレードを変える必要があります。
「一番硬い超硬=最適」ではありません。
2. ベルトに直接当てるなら「エッジ形状」が非常に重要
超硬チップは非常に硬いため、角が鋭すぎると、
- ベルト表面を傷つける
- ベルトを局部的に削る
- ベルトの継手に引っ掛かる
- チップが欠ける
といった問題が発生します。
そのため、チップ先端は単純な直角ではなく、
R形状・面取り・適切な逃げ形状を検討することが重要です。
特にベルトクリーナーでは、「掻き取る能力」と「ベルトを疵つけない能力」の両立が必要です。
☆マフレンベルトクリーナーは幅15mmの超硬チップを隣り合う超硬チップとピッタリ密着させていますのでチップのエッジでベルトを疵付けることはありません。
3. 超硬チップの配置ピッチ
マフレンベルトクリーナーは15mm程度の小分割で超硬チップを配置する場合、チップ1個あたりに掛かる荷重を小さくできるメリットがあります。
ただし、
ピッチを細かくすればするほど良い
わけではありません。
ピッチが細かすぎると、
- チップ数増加
- 製造コスト増加
- チップ間への搬送物の噛み込み
- 固定部の弱体化
- ベルトへの局部的な接触圧増加
などが起こる可能性があります。
したがって、チップ幅・ピッチ・接触圧力をセットで設計する必要があります。
4. 超硬チップを「硬く固定しすぎない」
ここは非常に重要です。
ベルトクリーナーは、ベルトの蛇行、ベルト継手、異物などによって瞬間的に大きな衝撃荷重を受けます。
超硬チップを完全に剛固定すると、
異物 → チップ → 固定部
に衝撃荷重が集中し、チップの欠けや脱落につながります。
そのため、
「通常時はしっかり接触し、異常荷重時には逃げる」
構造が有効です。
例えば、
- スプリング機構
- エアテンショナー
- フローティング構造
- チップホルダーの微小な可動
- 逃げ量を設定した構造
などです。

☆マフレンベルトクリーナーは超硬チップを可撓性のあるウレタンバーで支持していますのでかなりの衝撃を回避する構造になっています。今までチップが欠損したことはありません。
これは超硬を使う場合の重要な設計ポイントです。
5. ベルト継手への対策
超硬クリーナーでは、通常の搬送物よりもむしろベルト継手通過時が問題になる場合があります。
継手がチップに衝突すると、
「チップが欠ける」または「継手を傷める」
可能性があります。
そのため、
- チップ先端形状
- チップの突出量
- 接触角度
- 逃げ量
- テンション機構
を継手条件に合わせて決める必要があります。
☆ベルト継ぎ手条件におきましても、マフレンベルトクリーナーは超硬チップを可撓性のあるウレタンバーで支持していますので色々な継ぎ手条件に対応可能です。継ぎ手の問題で今までチップが欠損したことはありません。
6. 超硬とウレタンを組み合わせる方法も有効
実用上は、すべてを超硬にするのではなく、
超硬チップ+ウレタン本体
という複合構造がかなり有効です。
超硬で耐摩耗性・掻き取り性能を確保し、ウレタン側で衝撃吸収・追従性を持たせる考え方です。
7. 最も注意したいのは「線圧」
超硬チップを使う場合、最終的には接触圧力(線圧)を確認することが重要です。
同じテンションでも、
- チップ幅
- チップ数
- ベルト幅
- 接触面積
- チップ形状
- ベルト速度
によって実際のベルトへの負荷が変わります。
したがって、
超硬チップの材質選定 → チップ形状 → 配置 → テンション → 線圧
まで一連で設計するのが理想です。
特に重要な5項目
超硬をベルトクリーナーに適用するなら、私は次の順番で検討することをおすすめします。
| 項目 | 重要ポイント |
|---|---|
| ① 超硬グレード | 硬さだけでなく靭性も考える |
| ② チップ形状 | R・面取り・逃げを設計 |
| ③ チップ配置 | ピッチと接触荷重を最適化 |
| ④ 逃げ機構 | 異物・継手通過時に衝撃を逃がす |
| ⑤ 線圧 | 掻き取り性能とベルト損傷のバランス |

コメント